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天井の騒音対策

WORK 10
天井の騒音対策
アップライトピアノを演奏されるご家庭より、上階への音の影響に関するご相談をいただきました。騒音の測定結果に基づき、防音天井の追加によって十分な遮音効果が得られることが判明したため、天井面のみの施工を実施いたしました。 火災報知器の誤作動が懸念されたため、弊社より管理会社様へ連絡を行い、工事中は警報を一時的に停止していただきました。また、お客様のご都合により工事日程が一時中断されましたが、柔軟に対応させていただき、最終的にはご満足いただける仕上がりとなりました。
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BOUON PLAN

調査および図面からの検討により、音の伝達経路は大きく分けて以下の3つが想定されました。
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音源に隣接する階段室を通じて上階へ伝わる音
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音源のある階から上階を経由して隣接するお部屋へ伝わる音
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窓を経由して回り込む音
その後の騒音シミュレーションの結果、最も影響が大きいと考えられる経路は、オレンジ色で示した天井を経由するルートであることが判明しました。そのため、今回は天井面に対する対策のみをご提案させていただきました。なお、このシミュレーションから得られた副次的な情報として、ピアノの音が下階に対して非常に大きな影響を与えていることも明らかになりました。ただし、下階との関係性から騒音トラブルに発展するリスクは低いと判断されましたので、今回は対策工事の対象とはいたしませんでした。
当社ではこのように、お客様ご自身では気づきにくい音の影響についても、確認・ご報告することが可能です。
防音の方法:浮天井(うきてんじょう)について
今回、施工を検討しているお部屋の天井は一般的な天井でした。今回の対策では既存の天井の下に新たに浮天井を施工することで天井が二重となり、遮音性を高めるという方法です。
浮天井の断面図イメージ
一般的な居室の天井の断面図イメージ
防音天井の仕組み
浮天井は吊り下げるアンカーの途中に防振ゴムを挟むことで、振動が伝わりにくくなり、結果的に遮音性能が高まるというものです。メカニズムは複雑ですが、躯体部分に振動が伝わらないことが重要になります。
一般的な居室の天井の断面図イメージ
浮天井の断面図イメージ
上記図のように室内で発生した音は天井を伝わり、躯体へ向かいます。この時、天井面が振動するのですが、この振動が躯体に伝わると音を伝えやすい環境になってしまいます。浮天井はこれを防ぐために、間に防振ゴムを挟むことで、振動の伝わりを抑制できます。
施工内容:防音の二重天井
今回はアップライトピアノの演奏ということで、音源が非常に大きいことから既存の天井を解体せず、その下に浮天井を施工することで浮天井+既存天井の二重天井としました。防音室などに施工することの多い天井で高い遮音性能が期待できます。図に記載もありますが、既存天井を解体しないため、約13cmほど天井が下がるような形になります。