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ドラムスタジオの防振工事

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WORK 08

ドラムスタジオの防振工事

別の施工業者によりすでに防音施工がされたスタジオの床の防振のみのご依頼でした。既存の床はグラスウール浮床となっており、推定でΔLH -2となっており、弊社のドンナラン施工後は、ΔLH-4の2ランクアップとなりました。既存建物に施工可能な乾式防振床としては最高グレードの浮床となっております。

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BOUON PLAN

今回の工事では、既に防音スタジオ(ボーカルなどの収録)として運用されている空間において、床構造をさらに高性能な防振仕様へと改修し、ドラム演奏にも対応できる環境を実現するという、高度な内容となりました。新たに導入した防振床は、弊社が独自に開発し特許を取得している乾式防振床システム「ドンナラン」を採用しております。このシステムは、建物の完成後にも導入可能な乾式工法としては、最も高い防振性能を誇るものです。ドラム演奏のように大きな振動が発生する用途においても、十分な性能を発揮するよう設計・施工を行いました。

施工前の既存床には、かつて広く用いられていた「グラスウール浮床」が採用されていましたが、この工法は構造的・耐久的なリスクを多く抱えており、現在では一般的に用いられることは少なくなっています。今回の工事ではそのような背景も踏まえ、安全性と確実性を最優先に据えて対応しました。

既存部のグラスウール浮床とは?

上記のイラストに示されているように、グラスウール浮床は、床全体を緩衝材であるグラスウールによって支持する構造となっています。このグラスウールがバネのような役割を果たすことで、床に加わる衝撃を緩和し、振動や騒音を効果的に抑える防振性能を実現しています。グラスウールとは、ガラスを高温で溶かし、繊維状に加工した素材で、主に断熱材や吸音材として幅広く使用されています。さまざまな密度の製品が存在し、見た目は綿状、触感は硬めのスポンジのような柔らかさを持っています。

このグラスウールを床全体に敷き詰めて浮床を構成するのですが、経年劣化により、一部が沈み込んだり凹んだりすることがあります。これにより、床面がわずかに傾いたり歪みが生じたりするケースもあり、施工件数が少なくなった背景があります。

特許技術ドンナランとは?

グラスウール浮床とは異なり、こちらの工法では床と躯体(構造体)の間に特殊な防振ゴムを挟むことで防振性能を確保しています。この防振ゴムは、単に挟み込むだけではなく、ゴム1点あたりにかかる荷重や、支持ピッチ(間隔)の精密な計算が求められます。そのため、施工には高度な知識と技術が必要であり、ハードルは比較的高めです。

その分、既存の建物にも対応できる乾式防振床の中では、最も高性能なグレードを誇る工法です。スタジオ用途やダンス・フィットネススタジオを含む騒音対策において、極めて高い防振効果を発揮します。

防振床のみを施工する際の難しさ

防音室 壁・床既存部の断面図

防音室 床解体後の断面図

今回の施工対象となった既存の防音室は、浮床(防振床)の上に壁が立ち上がっている構造でした。これは防音室では一般的な構成ですが、床全体を解体して新たに施工を行う場合、壁面の構造までも解体が必要となります。

そのため今回は、壁を支持している床部分を最小限残し、必要な部分のみを解体・撤去した上で、新たな防振床を施工いたしました。

解体作業においては、右の画像のように壁が矢印の方向へ傾こうとする懸念がありました。実際に倒れるかどうかは確定ではありませんが、万が一に備え、壁を支える既存床の下に防振支えを挿入し、壁面の浮き構造を維持しながら施工を行いました。このように、既存構造を尊重しつつ安全性を確保しながら、性能の高い防振改修を実現しています。

最終的な防振・防音床の施工内容

最終的な防振床の断面図

解体作業の後、壁の下部に支柱を挿入して構造を安定させた上で、防振・防音床の施工を行いました。さらに、床の積層部分(構成層)をわずかに延長することで、壁面の際まで防振床を確保することができました。

この施工により、既存の床より数センチ高くなる結果にはなりましたが、お客様からご要望いただいていた「解体を最小限に抑えること」「防振床の範囲を可能な限り広く確保すること」という2点を、両立したかたちで実現することができました。

工期    約2日           費用    約120万円

使用用途  ドラムスタジオ     所在地     東京都

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