
WORK 10
天井の騒音対策
アップライトピアノを演奏されるご家庭より、上階への音の影響に関するご相談をいただきました。騒音の測定結果に基づき、防音天井の追加によって十分な遮音効果が得られることが判明したため、天井面のみの施工を実施いたしました。 火災報知器の誤作動が懸念されたため、弊社より管理会社様へ連絡を行い、工事中は警報を一時的に停止していただきました。また、お客様のご都合により工事日程が一時中断されましたが、柔軟に対応させていただき、最終的にはご満足いただける仕上がりとなりました。
工期
3日
リフォーム内容
天井の騒音対策
金額
500,000円
場所
大阪市住之江区

after

before
騒音計算と防音設計について
今回はRC躯体のマンションでしたが、メゾネットタイプで隣家と接している点は斜め上方向のみという特殊な状況でした。そのため、壁・天井の施工においてどちらが効果的かを事前に計算し、最も効率的で確実な防音の方法をお客様にご提案させて頂きました。
居室における天井の防音の難しさ
お部屋の形状が綺麗な場合には特段、考えることはありませんが梁が通っている場合やクローゼット、押入れなどがある場合にはその天井まで防音するべきかをよく検討する必要があります。今回はお客様とお打ち合わせの上で、梁はそのままに、クローゼットは部分はしっかり防音するという特殊な施工面となりました。
天井(うきてんじょう)について
今回、施工を検討しているお部屋の天井は一般的な天井でした。今回の対策では既存の天井の下に新たに浮天井を施工することで天井が二重となり、遮音性を高めるという方法です。
浮天井の断面図イメージ
一般的な居室の天井の断面図イメージ
防音天井の仕組み
浮天井は吊り下げるアンカーの途中に防振ゴムを挟むことで、振動が伝わりにくくなり、結果的に遮音性能が高まるというものです。メカニズムは複雑ですが、躯体部分に振動が伝わらないことが重要になります。
一般的な居室の天井の断面図イメージ
浮天井の断面図イメージ
上記図のように室内で発生した音は天井を伝わり、躯体へ向かいます。この時、天井面が振動するのですが、この振動が躯体に伝わると音を伝えやすい環境になってしまいます。浮天井はこれを防ぐために、間に防振ゴムを挟むことで、振動の伝わりを抑制できます。
施工内容:防音の二重天井
今回はアップライトピアノの演奏ということで、音源が非常に大きいことから既存の天井を解体せず、その下に浮天井を施工することで浮天井+既存天井の二重天井としました。防音室などに施工することの多い天井で高い遮音性能が期待できます。図に記載もありますが、既存天井を解体しないため、約13cmほど天井が下がるような形になります。
お施主様のコメント
この度は現地調査から施工まで丁寧にご対応いただき、ありがとうございました。物入れの中のコンクリートむき出しだったところまで防音していただくなど、安心しておまかせできました。
担当者のコメント
一般的なRC構造のマンションでは、天井のみの防音施工でピアノの音を十分に抑えることは難しいのが現実です。しかし、今回は建物の構造や部屋の条件が非常に有利に働いたため、限られた範囲の施工で効果的な防音を実現することができました。また、事前に騒音計算による性能シミュレーションを行うことで、必要最小限の施工範囲を正確に把握し、無駄のない工事計画を立てることができました。その結果、コストを抑えつつ十分な遮音性能を確保でき、お客様にとっても非常にメリットの大きい防音工事となりました。




