低周波音が人間に与える健康的影響 対策方法は?
近年、低周波音に関する苦情が増加していると言われています。これは、低周波音への関心が高まったことや、生活の質が向上し、より良い生活環境が求められるようになったことが原因と考えられます。
しかし、低周波音の発生メカニズムやその影響については、なかなか理解が難しく不安を招くとともに、問題解決を困難にしています。
今回のブログでは低周波音について理解を深められたらと考えています。低周波音による問題解決に役立つのではないでしょうか?
そもそも、低周波音とは何なのか?
低周波音は、私たちが話す声や鳥のさえずり、虫の鳴き声などと同じ種類の音です。音の中でも特に低い周波数のものを低周波音と呼びます。
例えば、船やバス・トラックのエンジン音、大きな滝が滝壺に落ちる音、波が防波堤に打ち寄せる音などには、多くの低周波音が含まれています。
1Hz~100Hzの音を低周波音と呼び、その中でも、人間の耳では特に聞こえにくい音(1~20Hzの音)を超低周波音と呼んでいます。
人間の耳は低い音ほど鈍感
人は周波数によって音に対する感度が異なります。人の耳は2000Hz~5000Hzの周波数帯域で最も敏感であり、初期の携帯電話のベル音にはこの周波数帯の音が使用されていました。一方、低い周波数の音に対しては感度が鈍くなります。音の周波数が低くなるほど、より大きな音でないと感じにくくなります。
例えば、200Hzの音は2000Hzの音と比べて約15dB、20Hzの音では約80dB大きな音でないと人は感知できません。
どこにでもある低周波音
低周波音も、人が聞き取れる音と同様に、私たちの身近に存在します。しかし、強い低周波音はどこにでも発生するわけではないため、低周波音があっても問題が生じることはあまりありません。
もし低周波音を体感してみたいと思ったら、高速道路などを走る際に窓を数センチだけ開けて走ってみてください。恐らく10〜20Hzの低周波音を体験出来ると思います。
これは楽器でいうとフルートなどが鳴るのと同じ原理で、もっと簡易的なものだと瓶に息を吹き込むと音が鳴るのと同じです。
低周波音による影響
低周波音の影響は大きく二つに分類されます。一つは人に対する不快感や圧迫感などの心身への影響であり、もう一つは窓や扉の揺れ、がたつきなどの建具への物的影響です。
低周波音による不快感や圧迫感は、人が低い周波数の音を聞くこと、または感じることによって引き起こされます。
窓や扉の揺れ、がたつきは、低周波音が窓や扉を振動させることによって発生します。これらの影響は、低周波音の振幅が一定の大きさ以上になると顕著になります。
人に対する心身への影響
バス内や列車、航空機の内部、船舶の客室などでも低周波音は発生しますが、通常、それによって健康に影響が出ることはありません。これまでの研究によると、私たちが日常生活の中で経験する程度の低周波音では、直接的な生理的影響が少ないと考えられています。
また、睡眠に対する影響についても、深い眠りの際には、低周波音の振幅が10Hzで100dB、20Hzで95dBを超えると目が覚めることがあるという実験結果が得られています。
建具への物的影響
建具が低周波音にどう反応するかについては、低い周波数でも人間の感度よりも敏感であり、特に揺れやすい窓や戸では、5Hzで70dB、20Hzで80dB程度の低周波音によって揺れることがあります。
発生源の代表的な例
低周波音は、主に大型の構造物や機械、施設から発生する傾向があります。ただし、これらの発生源の多くは対策が施されており、問題が起こるような大きな低周波音は稀にしか発生しません
工場・事業場
送風機 往復圧縮機 真空ポンプ 振動ふるい 燃焼装置 機械プレス
交通機関
道路高架橋 高速鉄道 トンネル ヘリコプタ- 船舶
店鋪・公共施設
変圧器 ボイラー 空調室外機 冷凍機
低周波音の対策は?自分でできる対策はあるのか?
低周波音に対する防音効果は、通常の高周波騒音に比べて、壁などによる効果はあまり期待できません。
低周波音の対策においては、発生源自体の対策が最も効果的です。ただし、低周波音の対策は一般に大規模であることが多いです。
低周波音の対策は、まず発生源自体の対策が基本ですが、以下のような対策で窓のがたつきや不快感を解消することがあります。
窓ががたつく場合: 隙間にパッキングを取り付ける、ガラスを金具で固定するなど。
特定の部屋で不快で眠れない場合: 寝る向きや寝る部屋を変えてみる
環境省や総務省が様々な情報を発信しています。自宅で低周波が気になった場合、原因を断定することはなかなか難しい場合が多いのですが、もし特定できた場合にはその原因にアプローチするのが良いでしょう。
創和防音は防音だけでなく防振の技術も有しています。まずはお気軽にご相談ください。
研究が進む低周波音 裁判となった事例も
20Hz を下回る超低周波音による被害に関する判例として、京都地方裁判所の判決があります。
この判決では、業務用乾燥機から発生する低周波音が社会生活上の受忍限度を超えると認められ、被告に対して損害賠償請求が認められました。被告の主張する最小可聴平均値との関連性や、低周波音の長期暴露が及ぼす影響についての科学的研究の不足などが考慮されました。
低周波音は感じとりにくことは事実ですが、なんお対策もしない場合にはこのような判決が下る場合もあります。
音を出す側も受ける側も、音に関連することでお悩みの場合にはまずはお気軽に創和防音までご相談ください!
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