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アコースティックギターのレコーディング マイキングポジションとサウンドの仕組み

  • 執筆者の写真: riku kawanaka
    riku kawanaka
  • 2024年5月9日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月30日


アコースティックギターのレコーディング

アコースティックギターの美しい響きを、レコーディングでそのまま再現するのは決して簡単なことではありません。ギターそのものの個性や演奏スタイル、部屋の音響環境はもちろん、マイクの選定や設置位置(マイキングポジション)がサウンドのクオリティに大きく影響します。


本記事では、アコースティックギター録音時におけるマイキングの基本的な考え方と、それぞれのポジションがどのようにサウンドに作用するのかを解説します。これから録音に取り組む方はもちろん、既に経験のある方にも新たな発見があるかもしれません。




アコースティックギターのレコーディング


宅録やDTMが当たり前になった現代では弾き語りやソロプレイヤーが自宅でアコギを撮ろうと様々な工夫をされている姿をSNSなどで見ることができます。


創和防音、音響担当が過去に「音に関する仕事」で得た経験をもとに感じたことをまとめております。





アコースティックギターのマイキングのポジション


よく見るマイキングのポジションはサウンドホールの真上やネックジョイント部(12~14フレット)あたりを狙ってマイキングしています。サウンドホールの上はなんとなく「音が出てきそう」とか「ピッキングするポジションだからアタックが強くなる」なんてことは想像出来ます。


まずは例としてNeumann ホームスタジオアカデミー(YouTube)で紹介されているポジションを例に考えていきましょう。




Neumann(ノイマン) ホームスタジオアカデミー 推奨ポジション


【1】12フレットあたり、30cmほど離して右手の方向を向ける


マイキングポジションの例

ノイマンの動画内では「アコースティックギターのレコーディングでは12フレットを狙いことが最も一般的な録音方法です。バランスの優れたサウンドが得られるからです」と解説があります。



【2】アコースティックギターのボディの上辺にマイクをセットし、サウンドホールの方向に少し傾ける

ノイマン推奨のマイキングポジション

エンジニア曰く「もっとパワフルなサウンド力強い低音が長く響く音が欲しい場合〜」「こもった音はいやだし、どのトーンもクリアに響かせたい場合」という理由で推奨しているポジションです。




マイクを傾けるメリット


ギターのボディとマイクの間で音が反響することを防ぐことができます。(並行面を作らない)

これにより、ボディとの距離を近づけることも可能になります。音源に近づけば低音のレスポンスが向上するので狙っているサウンドによっては近接効果により迫力やレンジの広さを演出することが可能です。


他にもブリッジ付近を狙う撮り方や、複数のマイクをミックスする録音方法があります。

気になる方は是非動画を視聴してみてください。


それでは次は「なぜこのポジションを狙うのか?」を考えていきましょう。



アコースティックギターのマイキングポジションな何故12フレット付近なのか?


・ギターの弦長で考えると弦の振幅が最も大きい場所だから


ギターは基本的に12Fがちょうど弦長(ナット〜ブリッジまで)の半分になります。

その証拠に開放弦のちょうどオクターブ上が12Fにあるはずです。


ギターは弓のような構造と言われることもありますが、その考えで行くと12F付近は弦振幅が最も大きい場所でレベルが最も高いポジションとも言えるはずです。


マイキングする上ではレベルが高いことはとっても重要ですよね?

こういった理由でマイキングしているのでは無いか?とも推測されます。


弦の構造の図

これは解放弦で演奏した場合の話では?と考える方もいらっしゃると思います。例えば6弦5フレットで弦を押さえた場合には中心点は17フレット付近に移動します。よりハイフレットで演奏した場合にはマイキングしているポジションからはズレてしまうことがあります。


あくまで仮説なので、厳密なことは言えませんがギターの弦長の中心が関係あることはマイキングしてみると確かです。



ギターの倍音構成を考えると有利なポジションである?


例えば5Fあたりからサウンドホールの真上までマイクを移動させてみると明らかに12F付近でサウンドが変わります。聴覚上は倍音構成が「ギターらしいサウンド」になったような気がします。


仮説ではありますが12フレット付近で鳴っている倍音の構成がギターを耳で聞いた時のサウンドに近いのでは無いかと考えています。


12フレットが中心

ハイスピードカメラで弦振動を撮影した場合、音の立ち上がりは非常に複雑な振動をした後に基音となる振動(弦長の中心での振動)に変化していきます。人間の耳は音が聞こえてからの変化によって、つまり音の立ち上がりからピーク、そしてサスティーンの変化も聞き分けることができます。

この変化を自然にギターらしく録音が出来るのが12フレットなのではないか?と考えています。




サウンドは最終は好み


ちなみにですが私はレコーディングの際は


マグネチックタイプのマイク SUNRISE (サンライズ)と

コンタクトタイプのマイク 2nd factor APU-1をペダルでミックスした後にDI outからエンジニアさんに渡していました。


加えて12フレット付近をコンデンサーマイクで録音し3点をミックスして音を作ってました。


「音の感覚が近く、エアー感があるサウンド」を狙ってこのようなセッティングにしていましたが常に迷ってばかりでした。「本当にこの音でいいんだろうか」と思い悩み機材を買っては売り買っては売りという日々…。


結局答えは見つからずでしたが一つだけ確かなことはどんな録音でもかっこよければ、自分が納得するものを作れていたら大丈夫!ということです!


メジャーアーティストの音源を聴いてみてもマイク無し(ラインのみ)の録音が存在するぐらいですから、マイクの場所も自由自在と言えますね!


皆さんも色々なマイキングを試してみてください!



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〈この記事を書いたライター〉 創和防音 編集部

創和防音は一級建築士・騒音振動公害防止管理者・一級施工管理技士など建築のエキスパートをはじめ、音楽大学卒業・元大手楽器メーカー勤務の楽器のエキスパートが在籍する防音工事専門会社です。



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