創和防音の「室内音響設計」について
みなさん、こんにちは!
大阪を中心に関西の防音室の設計・工事をしている創和防音です。
今回の記事では
「室内音響設計」
について書きたいと思います。
「室内音響設計」とは部屋の中で音がどんなふうに響くのかを設計することを言います。
創和防音では防音室を設計する際にこの「室内音響設計」も実施しております。
室内音響設計とはどういったものでなぜ必要なのか?
創和防音ではどうやって室内音響設計をしているのか?
について触れていきたいと思います。
創和防音では防音室の室内音響設計も実施!
一般的に防音室と言えば、部屋の内部で大きな音を鳴らしても部屋の外部に殆ど漏れず、周囲からのクレームが来ないような部屋の事だと思います。
しかし、創和防音が作る防音室は防音がしっかりしているという事だけではなく、その防音室内の「音の響き方」についても設計を行う様にしています。
なぜ防音室内の音の響き方についても設計を行うかというと、防音室の用途は人それぞれであり、どんな用途にせよその用途にあった「音の響き方」というものがあると創和防音は考えているからです。
例えば、ピアノを練習する用途であればあまり音が響き過ぎていない方がピアノの音が反響音に邪魔されずに良く聞こえる為、練習用途に向いていると言えるでしょう。
しかし、だからと言って全く音が響かない部屋では弾いていても楽しくない部屋になってしまうので、適度に響きが残っている方が良いと言われています。
では、映画観賞用の部屋ではどうでしょうか。
鑑賞する人それぞれの好みもあると思いますが、一般的にはあまり音が響かない方(デッド気味)が良いと言われています。
※これらは一例であり、そのお部屋を使用する方それぞれの好みの音の響き方もあると思います。
この様に、用途に応じて防音室に求められる「音の響き方」は異なります。
そのため、創和防音では必ず防音室内の音の響き方にもこだわって設計を行う様にしているのです。
尚、その部屋の音の響き方を設計する事を一般的に「室内音響設計」と呼びますが、
創和防音では
「調音」
と呼んでいます。
どうやって調音をしているの?
ではどうやって「調音」をしているのか気になりますよね。
創和防音では部屋の「残響時間」を調整することで室内音響設計をしています。
「残響時間」とは、音が発生してから聞こえなくなるまでの時間の事です。 (厳密には元の音の大きさが60dB低下するまでの時間の事を言いますが、専門的な内容なのでこの記事では詳しい説明は避けさせて頂きます。)
例えばお風呂場の中で手を叩くと、少しの間音が響いてから消えます。その響きが消えるまでの時間が「残響時間」です。
お風呂場の様な部屋では音が反響しやすいので「残響時間」が体感的にわかりやすいですね。
この「残響時間」を調整することでピアノの練習室に適した残響時間になる様に設計したり、映画の観賞用に適した設計にしたり、もしくはそのお部屋を使用する方の好み・要望に合わせる事で「調音」をしています。
残響時間の調整ってどうやってするの?
「残響時間」を調整する、と書きましたがどうやってするの?と思われ方もいると思いますのでどの様に調整するのか説明したいと思います。
残響というものは音が部屋の壁・床・天井を跳ね返ることで発生しています。
つまり、音が跳ね返る回数が多い程残響時間が長くなっていると言えます。
そのため、壁・床・天井に音が跳ね返りにくくなる材料を設置しておけば、音の跳ね返る回数を減らす事ができ、(=残響を抑える事ができ、)残響時間を短くすることができるのです。
そして、音が跳ね返りにくくなる材料の事を「吸音材」と呼びます。
創和防音では防音室内に吸音材を配置することで残響時間の調整を行います。
吸音材を配置する方法以外にも、部屋の壁や天井と床同士が平行にならない様に斜めにする等の方法もあり、実際にプロユースのレコーディングスタジオなどでは大抵壁は斜めになっています。
ですが、壁を斜めにするやり方は防音室のスペースが狭くなってしまう為、大きなスペースが無いと難しい対策方法になってしまいますので、一般向けの防音室ではあまりしない対策方法になります。
残響時間の長さの具体的な調整も可能です
ここまでで残響時間を短く出来る事はわかったと思いますが、
残響時間はある程度具体的に「何秒間」にする。といった設計が可能です。
その様な設計を可能にするのは残響式と呼ばれる残響時間を計算する公式です。
代表的なものに「Sabineの残響式」と「Eyringの残響式」があります。
(順番に「セービンの残響式」、「アイリングの残響式」と読みます)
創和防音では「Eyringの残響式」の方を使って具体的な残響時間を設計しています。
この内、設計時に調整をするのは主に「平均吸音率」となります。
「平均吸音率」はその部屋に設置されている吸音材の量及び種類によって増減します。
この式によって、防音室内での吸音材の量を調整することで残響時間の長さの調整を行う事が出来るのです。
施工後には残響時間を測定します!
創和防音では施工後に必ず精密騒音計を使って防音室の遮音性能の測定を実施しておりますが、その際には遮音性能だけではなく残響時間の測定も実施し設計時に設定した残響時間になっているかどうか確認しています。
これにより実際にその防音室が適切に調音出来ているかどうかを主観的にではなく、客観的なデータを基に判断することができています。
まとめ
一般的な防音室は外部への音漏れを抑えることが主な目的ですが、創和防音は部屋の用途に合わせて音の響き方を設計し、ピアノの練習室や映画鑑賞用の部屋などに適した音環境を提供可能です!
音の響き方の調整=調音(室内音響設計)は残響時間を調整することで行っています。
※残響時間は音が消えるまでの時間のことであり、吸音材の配置や部屋の形状を調整することで調節できます。
残響時間は具体的な設計が可能であり、創和防音ではEyringの残響式を用いて設計し、施工後には残響時間を測定して設計通りの効果が得られているか確認します。
防音室内での音の響き方についてこだわりたい方は是非創和防音にお気軽にご相談ください!
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