建設工事の騒音は事前に予測できる?騒音シミュレーションの考え方を解説
- 21 時間前
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工場や店舗、事業所、建設現場などでは
「稼働後に近隣から騒音の苦情が出ないだろうか」
「敷地境界でどの程度の騒音になるのか知りたい」
「防音壁を設置すると、どの程度改善できるのか」
といった問題が計画段階で生じることがあります。
騒音は、建物や設備が完成してから問題が発覚すると、追加の防音工事や設備変更が必要になることもあります。
そこで重要になるのが、騒音が周囲へどのように伝わるのかを事前に予測する「騒音シミュレーション」です。
今回は、日本音響学会がまとめた建設工事騒音の予測モデル「ASJ CN-Model 2007」を参考に、騒音予測の基本的な考え方をご紹介します。
騒音は「音源の大きさ」だけでは判断できない
例えば、ある設備から「90dBの音が発生する」という情報があったとしても、それだけで敷地境界や近隣住宅に何dBの音が届くのかを判断することはできません。
騒音を予測するためには
音源の大きさ
音源と予測地点の距離
音源の位置や高さ
建物や防音壁などの遮蔽物
複数の音源から発生する騒音
設備や機械の稼働時間
などを考慮する必要があります。
ASJ CN-Model 2007でも、個々の建設機械を騒音源として設定し、そこから予測地点までの音の伝搬に伴う減衰を考慮して騒音レベルを計算する考え方が示されています。
つまり、単純に「この機械は○dBだから大丈夫」と判断するのではなく、音源から受音点までの伝わり方を考えることが重要です。
騒音源の位置によって結果は変わる
騒音シミュレーションでは、音源をどこに設定するかも重要です。
論文では、予測対象となる建設機械とその位置を設定し、音源高さについても設定したうえで計算する方法が示されています。
これは工場や設備機器の騒音を考える場合でも重要なポイントです。
例えば同じ室外機や設備機械でも、
敷地境界の近くに設置する場合と、建物の裏側に設置する場合では、周辺へ伝わる騒音は変わります。
そのため、建物を計画する段階で騒音を予測しておけば、
「設備をこちら側へ移動する」
「防音壁をこの位置に設置する」
「騒音の大きな設備を建物の陰に配置する」
といった対策を検討できます。
複数の設備がある場合は「騒音の合成」が必要
工場や大型施設では、一つだけではなく複数の設備が同時に稼働するケースが一般的です。
この場合、それぞれの設備から予測地点へ届く騒音を計算したうえで、複数の騒音源を合成して評価する必要があります。
ASJ CN-Model 2007でも、複数のユニットが稼働する場合には、それぞれについて予測地点での騒音を計算し、レベルを合成する考え方が示されています。
そのため、設備が多数存在する施設ほど、単純な距離計算だけではなく、騒音シミュレーションによる検討が有効になります。
騒音源データは「実測値」も重要
シミュレーションの精度を左右する大きな要素が、入力する騒音源データです。
論文では、工種別・機械別のいずれの予測でも、類似箇所での実測値や既存文献のデータを参考にして、騒音源データを適切に設定することが示されています。つまり、シミュレーションソフトを使えば自動的に正しい結果が出るわけではありません。
「どのような音源データを入力するのか」そのものが非常に重要です。
メーカーから周波数別の騒音データを入手できる場合はそのデータを利用し、資料がない設備については、必要に応じて実際の機械を測定して音源データを作成する方法もあります。
計画段階で騒音を予測するメリット
騒音シミュレーションの大きなメリットは、建物や設備を実際につくる前に問題を検討できることです。
論文でも、予測結果は事業者が工事騒音による周辺への影響を評価し、騒音を回避・低減するための対策が必要かどうかを検討する資料として利用できるとされています。
これは建設工事だけではありません。
工場、物流施設、商業施設、蓄電池設備、空調設備、発電設備などについても、
「完成してから騒音対策を考える」のではなく、「計画段階で騒音を予測して設計へ反映する」
という考え方が重要です。
3D騒音シミュレーションなら「音の広がり」を可視化できる
創和防音では、騒音解析ソフト「SoundPLAN」を使用した3D騒音シミュレーションに対応しています。
音源の位置や騒音データ、建物、防音壁、周辺環境などの条件をモデル化することで
「敷地境界では何dB程度になるのか」
「近隣住宅にはどの程度の騒音が届くのか」
「どの設備が騒音に大きく影響しているのか」
「防音壁を設置するとどの程度改善するのか」
などを検討できます。
結果をカラーコンターマップとして可視化することで、数値だけでは分かりにくい騒音の広がり方を視覚的に確認することも可能です。
騒音問題は「発生してから」ではなく「計画段階」で検討する
工場や設備の騒音対策では、完成後に防音壁や防音カバーを追加するよりも、計画段階から騒音を考慮した方が、対策の選択肢を広げられる場合があります。
設備配置の変更だけで改善できるのか。
防音壁が必要なのか。
どの音源から優先的に対策すべきなのか。
こうした判断を行うための材料となるのが、騒音シミュレーションです。
創和防音では、騒音測定から音源データの作成、3D騒音シミュレーション、防音対策の検討まで対応しています。
工場・事業所・大型施設・設備機器などの騒音について、計画段階で周辺への影響を確認したい場合は、下記ページをご覧ください。
→ 騒音シミュレーション・騒音予測について詳しく見る
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〈この記事を書いたライター〉 創和防音 編集部
創和防音は一級建築士・騒音振動公害防止管理者・一級施工管理技士など建築のエキスパートをはじめ、音楽大学卒業・元大手楽器メーカー勤務の楽器のエキスパートが在籍する防音工事専門会社です。
参考文献
日本音響学会建設工事騒音予測調査研究委員会「建設工事騒音の予測モデル “ASJ CN-Model 2007”」『日本音響学会誌』64巻4号、2008年、pp.229–260。


