コンクリートの遮音性とは?遮音性能の仕組みと限界をわかりやすく解説
- riku kawanaka
- 7 日前
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更新日:5 日前

集合住宅やオフィスビルなど、鉄筋コンクリート造の建物は「音が響かない」「静かでしっかりした建物」という印象を持たれがちです。しかし実際には、コンクリートにも得意・不得意な遮音領域があり、設計や施工の工夫を怠ると、思ったほど静かにならないこともあります。
本記事ではコンクリートの遮音性の研究をもとに、コンクリートの遮音性の仕組みと注意点、そして効果的な改善策をわかりやすく解説します。
コンクリートが持つ基本的な遮音性能 ― 「質量則」とは?
コンクリートは気密性が高く、密度(=重さ)が大きいため、空気を介して伝わる音(空気伝搬音)に対しては優れた遮音性を発揮します。「質量則(Mass Law)」では、壁が重く厚いほど音を通しにくいとされており、実際の防音工事でもこの考え方をベースに設計を進めていきます。例えば、同じ材質なら厚さを2倍にするだけで約5dBの遮音向上が見込めます。
集合住宅などの界壁(隣戸の間の壁)では、100mm以上のコンクリート厚が必要とされています。薄い壁では、中音域(人の声がよく含まれる帯域)で遮音性能が大きく低下します。
遮音性を下げる落とし穴 ― 「コインシデンス効果」と施工の隙間
コンクリート壁でも、一定の周波数で「コインシデンス効果(共鳴現象)」が起こります。これは、音が壁を透過しやすくなる現象です。特に厚さ40〜100mmの軽量コンクリートでは、300〜1000Hzで遮音が弱くなる傾向があります。
さらに、施工時の微小な隙間も遮音を大きく低下させます。たとえば、0.03mm程度のすき間でも遮音性能が5dB以上低下する可能性があるようです。実際の測定では、わずかなシーリング不良で性能が基準値を下回るケースが報告されています。
創和防音の防音工事の現場でも石膏ボードの継ぎ目をしっかり埋めるなど、隙間を作らない施工を徹底しています。
壁の仕上げ方法にも注意 ― GL工法の落とし穴
コンクリートの内装でよく採用される「GL工法」(石膏ボードを接着剤で直貼りする工法)は、施工が簡単で仕上がりもきれいですが、遮音性能を5〜10dB下げる可能性があります。
原因は以下の2点です。
接着層が薄く、空気層が共鳴して低音域の遮音を下げる
石膏ボードが高音域で共鳴して透過してしまう
防音性能を確保したい場合は、空気層を十分に設ける構造とし、ボードとコンクリートの縁を振動的に切り離す設計が効果的です。
コンクリート床と衝撃音 ― 「スラブ厚」がすべてを決める?
コンクリートスラブの床は密度・剛性ともに高く、空気音に対しては優秀ですが、問題となるのが床衝撃音(固体伝搬音)です。子どもの足音やイスの引きずり音など、ダンスの振動やジムで発生するダンベルの落下音などのスラブを直接振動させる音は、コンクリートでも伝わってしまいます。
研究では、床厚が120mmのスラブでは、重量衝撃音(走り回る音など)を十分に遮断できないことが確認されています。
有効な対策 ― 「浮床構造」と「表面仕上げ材」
■ 浮床構造
コンクリートの面での衝撃音の対策では床とスラブの縁を切ることが重要です。ダンスやジムなどの床には創和防音の特許技術「ドンナラン」が有効で、多数の導入実績がございます。
■ 柔軟な仕上げ材(カーペットなど)
軽量床衝撃音(椅子のコツン、スリッパの音など)には、カーペットなどの柔軟な表面材も効果的です。硬質なタイルやフローリングでは、衝撃がそのままコンクリートに伝わってしまうため、防音目的の場合は緩衝材と併用するのが基本です。
まとめ ― コンクリートの「静けさ」を引き出すために
コンクリートは遮音性に優れた素材ですが、「厚ければ静かになる」という単純な話ではありません。コインシデンス効果、施工の隙間、共鳴、スラブ厚など、多くの要素が遮音性能を左右します。
創和防音では、これらの特性を踏まえ最適な防音工事をご提案させていただきます。
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〈この記事を書いたライター〉 創和防音 編集部
創和防音は一級建築士・騒音振動公害防止管理者・一級施工管理技士など建築のエキスパートをはじめ、音楽大学卒業・元大手楽器メーカー勤務の楽器のエキスパートが在籍する防音工事専門会社です。


