海の中にも「騒音」はある?―水中音と魚への影響を科学的に解説
- riku kawanaka
- 11月11日
- 読了時間: 3分

「海は静かな世界」と思われがちですが、実際の海中はとても賑やかです。波が砕ける音、砂が擦れ合う音、魚の発する音、そして船や工事の機械音など私たちが想像する以上に、海の中はさまざまな音に満ちています。
本記事では、水中音の性質や魚への影響を、わかりやすくご紹介します。
水中の音はどう伝わるのか
音とは、空気や水の粒子が振動し、その振動が波となって伝わる現象です。空気中では音速が約340m/sなのに対し、水中では約1500m/sと約4倍もの速さで伝わります。これは水の密度が高く、粒子同士の伝達が速いためです。
また、水中では「温度」「塩分」「深さ」によって音の伝わり方が変わります。たとえば温度の異なる層があると音が屈折したりします。この性質は、水中騒音の広がり方を予測するうえで非常に重要なようです。
水中音の発生源と音圧レベル
海の中で発生する音には、自然音と人工音があります。
●自然の音
波が岩に当たる音
気泡の弾ける音
砂や小石が擦れ合う音
魚がえらや体の一部をこすり合わせる音
●人工的な音
船舶のエンジン音・プロペラ音
海上土木工事(杭打ち・サンドコンパクションなど)
水中爆破(ダイナマイト発破)
過去に行われた実測では、杭打ち工事で音圧レベル85〜88dB、水中発破では112dBにも達することが報告されています。これは魚の聴覚閾値を大きく超えるレベルで、強い威嚇や逃避反応を引き起こすことがあります。
魚はどのくらいの音を感じ取っているのか?
実験では、マイワシやアジが40〜50dB程度の音で逃避行動を見せた一方、ウマヅラハギやイシダイは65dBでも反応しなかったと報告されています。魚種によって“音への敏感さ”は大きく異なるようです。
工事騒音が海の生き物に与える影響
港湾工事や橋脚工事などで発生する水中音や振動は、魚類の行動に影響を及ぼします。特に底生魚(海底に棲む魚)は、海底振動に敏感であることが分かっています。
地盤振動は周波数が低く、水を通じて遠くまで伝わるため、海底工事では「水中音」と「海底振動」双方の測定が欠かせません。魚が逃避行動を示す“威嚇振動レベル”のデータはまだ少ないものの、今後の海洋開発では重要な指標となるでしょう。
まとめ
海の中も、陸上と同じように“騒音環境”が存在します。魚たちはその中で音を頼りに生活し、時には人工音に驚き、逃げていきます。水中音の測定や解析技術は、漁業や海洋工事の環境保全に役立つだけでなく、私たちが取り組む建築防音・防振設計の根底にもつながっています。
───────────────────────────
音の悩み、創和防音が解決します。
大阪・兵庫・京都・奈良など関西全域で対応中。
\ 現地調査・お見積もり無料 /
───────────────────────────
〈この記事を書いたライター〉 創和防音 編集部
創和防音は一級建築士・騒音振動公害防止管理者・一級施工管理技士など建築のエキスパートをはじめ、音楽大学卒業・元大手楽器メーカー勤務の楽器のエキスパートが在籍する防音工事専門会社です。