なぜ音の単位はdB(デシベル)なのか?
みなさん、こんにちは!
大阪を中心に関西の防音室の設計施工をしている創和防音です。
今回の記事では「なぜ音の単位はdBなのか?」について書いてみたいと思います。
「dB(デシベル)」という単位が音の大きさの単位として使われているのはある程度みなさんも知っているかと思います。
ですが、なぜ音の単位にdBが使われているかについてはあまり知らないのではないでしょうか?
このdBという単位は実は人間の感覚に合わせて設計された単位で「人間が感じる刺激(音など)に対する感覚の量の単位」なのです。
「人間の感覚」という、数値として捉えづらそうなものをいったいどの様にして数値として捉えているのでしょうか?
ウェーバー・フェヒナーの法則
ウェーバー・フェヒナーの法則とは、私たちが刺激をどのように感じるかを説明したものであり
「人間の感覚の量は、受ける刺激の強さの対数に比例する。」
というものです。
これだけでは何を言っているのかよくわからないと思うので具体的な例を挙げて説明します。
例えば、10グラムのものに1グラム追加すると変化を感じるけれど、 1000グラムのものに1グラムを追加してもあまり変化を感じませんよね?
これは、刺激(重さ)が強くなるにつれて段々と刺激の感じ方が小さくなっているという事です。
この事を「人間の感覚の量は、受ける刺激の強さの対数に比例する。」と表現しているのですが、
言葉だけではわかりにくいので、この感覚の量と刺激の強さの関係のグラフも用意しました。
グラフの通り、元々の刺激が弱ければ人間の感覚は敏感に反応し、元々の刺激が強ければ人間の感覚は鈍感に反応する、という関係性が表れていると思います。
グラフで見るとよりその関係がわかりやすいですね。
そして実はこのグラフ、数学の授業で習うあるグラフと凄く似ているんです。
それは「常用対数」のグラフです。
そうなんです。
「人間の感覚の量は、受ける刺激の強さの対数に比例する。」というのは
ウェーバー・フェヒナーの法則のグラフが常用対数のグラフと同じ形をしている=近似している
という理由から言われている事だったんです。
これでウェーバー・フェヒナーの法則がどういうものなのか理解出来たのではないでしょうか。
そして、音も人間が感じる刺激の一つであり、その感じ方はウェーバー・フェヒナーの法則に当てはめる事が出来ると言われています。
という事はウェーバー・フェヒナーの法則に則れば、音の感覚量も対数で表現できるという事が言えそうですね!
そうなると、「音の感覚量の単位であるデシベルには対数が関係していそうだ!」という所までわかってきたと思います。
それでは、次にデシベルという単位の中身を見ていきましょう。
デシベルの基本
デシベルは音の強さや信号の強度を測定する際に使用される単位です。
実はデシベルという単位は音に限った単位という訳ではなく、音以外でも使われているんです。
なので、音の単位としてdBを使う場合は正式には「dB SPL」と言います。 (SPLは「Sound Pressure Level」を略したものであり、日本語では「音圧」、要は音の大きさの事です。)
デシベルは次の様な式で計算されます
ここで、
P1・・・対象となるパワー
P0・・・基準となるパワー
です。
やはり対数(log)が出てきましたね!
この式を言葉で説明すると、
「dB(デシベル)は基準パワー(P1)に対する対象のパワー(P0)との比(P1/P0)を、 常用対数(log10)を使い数値化(デシは1/10の意味の為10倍しています。)したもの」
となります。
音の単位としてdBを使う場合、
P1は「対象となる音圧」、
P0は「人間が感知できる最小可聴音圧(0dB)」
となります。
※「人間が感知できる最小可聴音圧」はdBではなくPa(パスカル)という単位で定義されており、
「P0=20×10^-6Pa」です。
この音圧の値が0dBとして定義されています。
(尚、世界共通の定義となっています。)
若干難しい内容となりましたが要は、
音圧という物理量を人間の感覚に合った表現をする為に対数を使って表現している=dBを使っていると理解できればOKです。
まとめ
音におけるデシベルという単位は、音の大きさを人間の最小可聴音圧を基準(0dB)に、対数を使うことで音に対する人間の感覚に近似的に合わせて表した単位であるという事がわかりました。
デシベルは私たちの感覚に深く根ざした意味を持つ単位という事がわかりましたね!
また、それと同時に思ったよりも複雑な単位だな・・・と思ったのではないでしょうか。
防音の世界ではこの単位を使って遮音性能の計算等をする為、このdBという単位に対して正しい知識を持っている事が必要となります。
(実は1dB+1dB=2dBにはなりません・・・dBの足し算は普通の足し算とは全く別の手順が必要になります。中々一筋縄ではいかない単位ですね。)
創和防音ではこういった知識は当然の事、防音に関する専門的な知識・経験を有していますので防音についてお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。
おまけ
音の大きさを表す単位はdBだけではなくPa(パスカル)等もあります。
(最小可聴音圧がこの単位で定義されていましたね!)
気になった方はこちらの単位についても調べてみてはいかがでしょうか。
Paという単位があるのにそちらが使われていない理由についてもわかり、より理解が深まると思います。
また、音の単位として使われるdBには実はそこから更に種類があります。
下の記事では、その種類について解説しています。
興味がある方は是非読んでみてください!
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