防音の大前提「隙間の密閉」について徹底解説
みなさん、こんにちは!
大阪を中心に関西の防音室の設計・工事をしている創和防音です。
今までに遮音性能を上げるための法則などについて解説してきましたが、その遮音性能の向上は部屋がきちんと「密閉」されていることが前提です。
ですが、今まで防音室の密閉については解説をしてきませんでした。
そこで、今回の記事では防音を実現する上で大前提と言える「隙間の密閉」について解説したいと思います。
■部屋に存在する「隙間」一覧
通常、部屋には色々な所に「隙間」が存在します。
たとえどれだけ壁を分厚く重たくしたとしても、「隙間」が開いていれば遮音性能は上がりません。
そのため防音の第一歩は「隙間の密閉」にあると言えるのですが、「隙間の密閉」をしていくためにはまず部屋にどんな隙間が存在するのか?を把握しておく必要があります。
ですので、ここではまず一般的な部屋に存在する「隙間」を把握していきましょう。
●ドアの隙間
ドアはドア本体と枠で構成されているのですが、ドアと枠の間には必ず隙間が生じます。
特に、ドアの下部は換気のために大きな隙間が空いている事も多いです。
出典:大東住宅
●窓の隙間
意外と窓は閉めていても隙間が生じます。
以下の画像は窓が開いている時の写真ですが、締め切った場合でもレールの部分では僅かながら隙間が生じてしまいます。
ここから音が漏れてしまいます。
●換気扇の隙間(穴)
換気扇は見ての通り、隙間と言うよりも穴が空いている感じです。
(建物の外が見えてしまっています。)
これだけ大きな隙間(と言うより穴)が空いていると、周りの壁の遮音性能が高かったとしても音は筒抜けになります。
●コンセントボックスやスイッチボックスの隙間(穴)
コンセントやスイッチは以下の画像のような形で、コンセントボックスと呼ばれる箱を壁に穴を空けて埋め込んでいることが多いです。
(画像のグレーの枠のような物がコンセントボックスです。)
出典:DENKI110
ですが、これは遮音性能を発揮するはずの壁に大きな穴を空けてしまっている状態なので、この穴から音が漏れてしまいます。
●配管の貫通部の隙間
部屋にもよりますが、壁を配管が貫通していることがあります。
この時に配管と貫通孔の間に隙間が生まれている場合があります。
このような場合、ここから音漏れする可能性が高いです。
■これらの「隙間を密閉」することが防音の大前提
これらの隙間は、一つ一つは小さなものかもしれませんが、音は空気の振動によって伝わるため、わずかな隙間でもそこから音が漏れ出してしまいます。
どんなに遮音性能の高い素材を使用しても、隙間があればその性能は発揮されません。
ですので防音対策を施す上で重要なのは、まずこれらの隙間を塞ぐことです。
■「隙間の密閉」をするための対策方法一覧
では、具体的にどのようにしてこれらの隙間を塞げば良いのでしょうか?
ひとつずつ見ていきましょう。
●扉の隙間対策
ドア枠にパッキンを設置する
扉とドア枠の間に隙間テープやドアパッキンを取り付けて隙間を塞ぎます。
出典:Amazon
パッキンを枠に設置する事によって、ドアを閉めた際にパッキンが押しつぶされて隙間を密閉することができます。
ドア下部に隙間ガードを設置する
ドア下部の換気用の隙間を塞ぐドア下部の隙間を埋めるグッズを取り付けて隙間を塞ぐことができます。
出典:Amazon
ただし、そもそもドア下の隙間は換気のために空いているものですので、隙間を埋める際は換気に注意をして実施しましょう。
防音ドアを設置する
防音ドアは先に挙げた「ドアと枠の間の隙間」と「ドア下部の隙間」をしっかり塞ぐように設計されています。
防音ドアは下の画像の通り、枠の4周にパッキンが設置されています。
そして、そのパッキンをドアでしっかり押しつぶして隙間を密閉するために、グレモンハンドルと呼ばれる特殊なハンドルが使われています。
グレモンハンドルはドアを枠に強く押し付ける形でドアを閉めることが出来るので、パッキンを確実に押しつぶせます。
この特徴から、防音目的のドアでほぼ必ずと言っていい程採用されるハンドルです。
このような機構持っている防音ドアはドア周りの隙間の密閉には最適です。(防音目的で設計された製品なので当然ではありますが・・・)
弊社では防音ドアの取付のご依頼も承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
⇒お問い合わせはこちら
●窓の隙間対策
隙間テープを貼る
サッシと窓枠の隙間は、隙間テープを貼り付けることである程度隙間を塞ぐことができます。
出典:Amazon
リンク先のAmazonの商品ページで動画付きで貼り方が説明されているのでそちらを見るとわかりやすいと思います。
価格も安く、個人で取り組みやすい対策になるのでオススメです。
二重窓(内窓)を設置する
出典:YKKap
画像では断熱の説明がされていますが、二重窓は防音にも効果を発揮します。
窓は構造上完全に隙間を密閉することは困難です。
ですので、窓の本格的な防音を考える場合は窓自体を二重にします。
隙間を完全に塞ぐことが出来ないのであれば窓を二重にしてしまえ、というのは結構力業な感じがしますが、窓の防音方法としては最も主流となっています。
なお、こちらは工事が必要になりますので個人での対策は難しいと思います。
弊社では二重窓の取付のご依頼も承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
⇒お問い合わせはこちら
●換気扇の隙間対策
ロスナイを設置する
出典:三菱電機
ロスナイとは、三菱電機の製品で給気と排気を同時に行うことができる換気機器です。
ロスナイはその構造上、通常の換気扇に比べて隙間が少なくなるので防音性能が高くなります。
通常の換気扇に代えてこのような換気機器を導入することで、換気扇や給気口などによる音漏れを防ぐことができます。
弊社で設計・工事している防音室でも換気機器としてロスナイを採用することが非常に多いです。
こちらも設置の際は工事が必要となりますので、個人での対策は難しいと思います。
●コンセントやスイッチの隙間対策
防音コンセントカバーを使用する
出典:モノタロウ
コンセントボックス自体を遮音性能を高めたものにすることにより、遮音壁に穴が空いた分の遮音低下を抑える方法です。
ですが、通常のコンセントボックスよりかは遮音性能は向上するものの、やはり穴を空けている以上、遮音壁の遮音性能よりかは劣ってしまうので、遮音上の弱点になってしまうことに変わりはありません。
ですので、思った以上の効果は得られないかもしれません。
なお、既存のコンセントボックスをこれに交換する場合は工事が必要になってしまいますので、個人での対策は難しいと思います。
コンセントBOXを埋め込まずに使う
これは弊社で防音室を設計・工事する際に採用している方法です。
こうすることにより、そもそも壁に大きな穴を空けずに済むので、遮音上の弱点を作らずに済みます。
こちらの対策も既存のコンセントボックスが壁の中に埋まっている場合は工事が必要になります。
ですので、個人での対策は難しいと思います。
●配管貫通部の隙間対策
貫通部をシーリングする
出典:街の外壁塗装やさん
写真は防音を目的としたシーリングではありませんが、防音を目的とした場合でも同様に配管と穴の取り合い部分の隙間をシール材で埋めます。
弊社で工事する防音室で発生する貫通部に関しては、隙間のシーリングに加えて配管に鉛シートを巻き付けるなどの対策も行うことがあります。
なお、シール材には色々な種類があり、配管や壁の材質、屋内、屋外などにより使用するべきシール材が変わるため、個人でやろうとせずに専門家に相談することをオススメします。
■まとめ
今回は、防音を実現する上で大前提となる「隙間の密閉」について解説しました。
防音を実現する上で隙間を塞ぐことは、遮音性能を向上させるための大前提です。
個人で対策することができるものもいくつかありますので、是非試してみて下さい。
創和防音では豊富な防音の知識を元に、お客様の要望に合わせて最適な防音対策をご提案いたします。
騒音対策や防音室の設計・工事をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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