防音賃貸マンションとは?~「高品質な防音室がある自宅」を大きな出費無しで実現可能です~
みなさん、こんにちは!
大阪を拠点に防音室の設計・工事をしている創和防音です。
「自宅に防音室が欲しい」
そんなことを思ったことは無いでしょうか。
しかし、「防音室」の値段を調べて見ると100万円以上したりと金銭的なハードルが非常に高い現実に打ちのめされる方が多いのではないでしょうか。
安い防音室も探せばあるものの、それらの防音室は防音性能が非常に低く用途も限られています。
(簡易防音室についてはこちらの記事で解説しています)
ですが、実は「高品質な防音室がある自宅」は大きな出費を伴わずに実現可能なんです。
そして、その方法とはズバリ「防音賃貸マンション」に住むことです。
この記事では「防音賃貸マンション」について徹底解説したいと思います。
■防音賃貸マンションとは?
防音賃貸マンションとは、工事式防音室があらかじめ部屋に工事されている賃貸マンションのことです。
ですが、部屋が防音室になっていること以外は通常の賃貸マンションと変わりません。
つまり、普通の賃貸マンションと同じように部屋を借りるだけで、高性能な防音室を使うことができるのです。
これらのマンションはいわゆる「音が漏れてもお互い様」といったようなマンションではなく、しっかりとした遮音性能を持っていることが特徴です。
まだ防音賃貸マンションの数はあまり多くありませんが、防音賃貸マンションの開発を専門として扱っている会社も存在しています。
■代表的な防音賃貸マンションブランド
防音賃貸マンションはいくつかの会社がそれぞれに「ブランド」を立ち上げて展開しています。
ここでは、代表的な防音賃貸マンションのブランドについて紹介していきます。
●RASICLAS(ラシクラス)
出典:株式会社らしく
RASICLASは関東圏で防音賃貸マンションを90棟程度展開している大手です。(2024年9月現在)
⇒ホームページはこちら
<遮音性能について>
RASICLASは「遮音等級D-80」を基本仕様にしています。
「遮音等級D-80」はわかりやすく例えると、騒音を80dB減衰させる性能を意味します。
つまり、95dBの音が鳴っている場合、その防音室の外では95-80=15dBまで減衰する性能と考えることが出来ます。
(厳密には音源の周波数特性によって異なってきますが、概ねこのような理解でも問題ありません。)
なお、この防音性能は「非常に高い遮音性能を有している」と言える水準です。
出典:株式会社らしく
出典:株式会社らしく
<間取りの例>
例として「グランジット根岸ラシクラス」の間取りを紹介したいと思います。
⇒物件ページはこちら
出典:UchidaHouse
1Kの間取りのタイプで「防音室」と書かれた7畳の部屋が防音室になっている部分です。
窓が二重窓になっていること以外は、見た目はほとんど普通の賃貸マンションと変わりません。
<賃料について>
賃料(共益費込み)は12.8万円のようです。(2024年9月現在)
付近の賃料相場と比べると若干高くなっていますが、「遮音等級D-80」クラスの防音室を普通に購入した場合最低でも300万円以上はかかると思われます。
そのことを考えると賃料はあまり高くないと考えることもできます。
RASICLASでは、このような単身者向けの部屋を中心に提供しているようです。(2024年9月現在)
●soundproof(サウンドプルーフ)
出典:soundproof
soundproofは関東圏で防音賃貸マンションを20棟弱程度展開しています。(2024年9月現在)
⇒ホームページはこちら
<遮音性能について>
soundproofは「世界トップレベルの防音性」を謳っており、一般的な防音室が二重壁で防音室の壁を構成しているのに対し、soundproofでは三重壁で構成することで遮音等級にして「Dr-100」を達成することに成功しており、この構造に関して特許も取得しています。
出典:soundproof
一般的な集合住宅での防音室の遮音等級は「Dr-60~80程度」がほとんどです。
それと比較すると「Dr-100」はかなりの遮音性能であることがわかると思います。
個人向けの防音室でこのレベルの遮音等級を誇る部屋はsoundproof以外では中々お目にかかることは出来ないと思います。
<間取りの例>
例として「サウンドプルーフ プロ学芸大学」の間取りを紹介したいと思います。
⇒物件ページはこちら
出典:soundproof
1Kの間取りのタイプで「Sound proof room」と書かれた9.6畳の部屋が防音室になっている部分です。
鏡が部屋の全面に設置されており、自宅でありながらスタジオのような雰囲気になっています。
<賃料について>
賃料は13.6万円~のようです。(2024年9月現在)
この中に共益費が入っているかどうかはわかりませんでした。
付近の賃料相場と比べると高くなっていますが、「遮音等級D-100」クラスの防音室を普通に購入した場合最低でも400万円~500万円以上はかかると思われます。
(厳密には「遮音等級D-100」という性能の防音室は設計も工事もしたことが無いため、いくらかかるか掴めていないというのが正直な所です。)
そのことを考えると賃料はあまり高くないと考えることもできると思います。
soundproofでは現状はファミリータイプなどは無く、このような単身者向けの部屋を中心に提供しているようです。(2024年9月現在)
●MUSISION(ミュージション)
出典:MUSISION
MUSISIONは関東圏で防音賃貸マンションを40棟弱程度展開しています。(2024年9月現在)
⇒ホームページはこちら
<遮音性能について>
物件ごとのページに遮音性能の記載があり、それらを見ているとどの物件でも概ね「遮音等級D-70~80」に達しているようでした。
これは「非常に高い遮音性能を有している」と言える水準です。
<間取りの例>
例として「ミュージションテラス品川豊町」の間取りを紹介したいと思います。
⇒物件ページはこちら
出典:MUSISION
こちらは防音賃貸マンションとしては珍しく、ファミリータイプとなっています。
また、テラスハウスタイプのため集合住宅でありながら3階建てとなっています。
間取り図で確認できる通り、このタイプでは一部の洋室のみが防音室になっています。
リンク先では「物件の詳細」の項目で「演奏可能楽器」や「遮音性能」が具体的に記載されているので、自分の部屋の用途に合った遮音性能があるかどうかが簡単に確認できます。
<賃料について>
賃料(管理費込み)は28.4万円~のようです。(2024年9月現在)
付近の賃料相場と比べると高くなっていますが、「遮音等級D-70」クラスの防音室を普通に購入した場合最低でも300万円以上はかかると思われます。
そのことを考えると賃料はあまり高くないと考えることもできると思います。
また、ここで紹介した部屋はファミリータイプでしたが、単身者向けのMUSISIONもありますので、気になった方はHPで探してみてください。
●音楽マンション®
出典:越野建設株式会社
音楽マンション®は関東圏で防音賃貸マンションを54棟展開しています。(2024年9月現在)
⇒ホームページはこちら
<遮音性能について>
HPで確認出来る限りの情報では、このマンションシリーズがどの程度の「遮音等級Dr値」を保証しているかの具体的な記載はありませんでした。
しかし、音楽マンション®のファンタジアというマンションの物件HPにて、「「音楽マンション®」シリーズは、防音・遮音性能の設計目標を日本建築学会の指針にある「特級」に設定。」と記載がありました。
「日本建築学会の指針の特級」とは、以下の表で確認できる室間音圧レベル差の適用等級のことと思われます。
この場合、「特級」は遮音等級D値にして「D-55」となるため、
「音楽マンション®」シリーズの遮音性能は「遮音等級D-55」相当と考えられます。
<間取りの例>
例として「ラ グラン ブルー」の間取りを紹介したいと思います。
⇒物件ページはこちら
出典:越野建設株式会社
1Kの間取りで一人暮らし用と思われますが、二人入居できる2Kタイプなどもあります。
演奏可能時間は7:00~24:00と指定されています。
また、「ラ グラン ブルー」にはありませんが、同じ「音楽マンション®」シリーズの「ファンタジア」では入居者専用スタジオがマンションに併設されており、自室では対応できない複数人での練習やセッションに対応出来ます。
出典:越野建設株式会社
<賃料について>
賃料はHPからでは確認ができませんでした。(2024年9月現在)
ですが、現在満室であることを考えると相当な人気の程が伺えます。
■最後に
以上が、「防音賃貸マンション」についての記事になります。
「高品質な防音室」をまとまったお金が無くても自宅に迎えることが出来る(実際には自分から防音室の方へ向かっているのですが)のは目から鱗だったのではないでしょうか。
今回の記事では代表的な防音賃貸マンションのブランドについて紹介させて頂きましたが、やはり賃料は相場よりも高くなる傾向にあることがわかりました。
ですが、この差額は言わば「防音室使用料」であり、「防音室自体の広さ」や「防音性能の高さ」を考えればある程度許容できる金額だと思います。
というのも、「組み立て式防音室のレンタルサービスの費用」と比較してみると実はあまり変わらないことが多いです。
そのことを考えると、賃料が相場より若干高くなっていたとしても妥当な値段(むしろ若干安い程)だと思います。
⇒「組み立て式防音室のレンタルサービス」についてはまた別の記事で取り上げたいと思います。
いずれにしても、「自宅に防音室が欲しいけど防音室を購入するまとまったお金を用意しづらい」という人にとっては非常に有難い存在だと思います。
防音賃貸マンションは人気のため、多くの部屋は既に埋まってしまっていますが、新規受付の状況などがホームページやSNSから確認できるようになっていることが多いので、気になっている方はチェックしておくと良いでしょう。
また、いずれの防音賃貸マンションシリーズも現状は関東圏でのみ展開されており、他の地域には展開されていないようでした。(2024年9月現在)
防音室の需要は年々高まっているので、関東圏以外の地域でも普及して欲しいですね。
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