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木造住宅の防音対策、今はどうなっている?「音漏れ=木造」の常識は過去の話?

  • 執筆者の写真: riku kawanaka
    riku kawanaka
  • 2024年11月11日
  • 読了時間: 7分

更新日:7月9日

最終更新日2025/07/09


近年、持ち家か賃貸かといった住まいの選択肢に対する関心が高まる中、特に集合住宅に住む人たちの間で騒音問題のストレスが大きな話題になっています。


都市部での集合住宅暮らしでは、上階の足音や隣の部屋のテレビの音など、どうしても近隣からの生活音が気になり、時には生活に支障をきたすこともあります。このような悩みを抱える方が増えたため、「一戸建て住宅で快適に過ごしたい」という方が急増しています。


日本国内の戸建て住宅の約9割は木造住宅であるため、「木造は鉄筋コンクリートより防音性能が劣る」という情報を耳にし、一戸建てに引っ越しても防音対策としては不十分なのではと不安になる方もいるでしょう。しかし、近年の木造住宅は「高気密・高断熱」仕様が増え、防音性も大きく向上していることも事実です。


本記事では、現在の木造新築住宅の防音性能について解説し、音漏れ問題に悩む方へ最新の木造住宅の実情をお伝えします。


木造戸建ての図



■ 目次


  1. 木造住宅の防音性能はどのように進化したか

  2. 高気密・高断熱住宅がもたらす防音効果

  3. 木造住宅に騒音対策は必要ない?

  4. 実際にあった木造戸建ての防音トラブル 

  5. 4-1. 事例①:窓対策しても音が止まらない(京都府) 4-2. 事例②:音の発生源がわからない(大阪府)

  6. 木造新築住宅における防音対策の最新事例

  7. 楽器演奏や大音量視聴には防音室の設置が必要

  8. 防音性能を重視した木造住宅選びのポイント

  9. まとめ|木造住宅でも快適な音環境は実現できる



木造住宅の防音対策、現代の実態


一昔前の木造住宅は、通気性や湿度調整に優れていたものの、防音性能においては課題があるとされてきました。そのため、「木造だと音漏れが気になる」というイメージが根強く、木造戸建てに引っ越した際も騒音トラブルから解放されないと考える方が多いようです。しかし、現代の木造住宅は一変し、建築技術が飛躍的に進化したことにより、高い防音性を持つ木造新築住宅も存在しています。



近年よく見かける「高気密・高断熱住宅」には、建物の隙間を最小限に抑える設計が採用されているため、外部からの音が入りにくく、室内の生活音も漏れにくいという特徴があります。また、断熱材が壁にしっかりと詰まっているため、一般的な防音工事と同様に音の侵入や漏れを防ぎます。大手ハウスメーカーでは、木造でも鉄筋コンクリート造と同等の遮音性を持つ建材が開発されており、従来の「木造は防音性が弱い」というイメージは変わってきていると言えます。


建設中の木造戸建て



木造住宅に騒音対策はもはや必要がない?


気密性・断熱性が向上していることで「もはや木造住宅に騒音対策は必要ない?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これは少し意味が変わってきます。新築や築古に関わらず、RC造やSRC造といった木造よりも遮音性の意味で有利な建物であっても騒音問題というものは存在し、ご依頼があるということも事実です。



お客様自身が「騒音を感じるか否か」という点においては、例えば「車の騒音の場合」は窓や換気扇に対策が必要となります。新築で建物の劣化のない状況においても、騒音の大きさや周辺環境によっては騒音に感じてしまうため、対策が必要です。


また、家の中が静かになる(暗騒音が小さくなる)と今度は逆に少しの音でも気になるようになってしまいます。人間の耳の特性や心理的影響によるもので、やはり騒音対策は必要といえます。




木造戸建てで実際にあった問題


弊社がお客様からご相談を頂いた内容で問題として大きなところをいくつかご紹介させて頂きます。


事例① 窓を対策しても音が止まらない?

外壁の遮音性能不足が原因だったケース(京都府)


「道路の騒音がひどく、他社で二重窓を設置したものの、あまり効果を感じられない」とのご相談をいただいたケースです。現地で測定したところ、室内の騒音レベルは依然として高く、原因を探る必要がありました。



◆ 調査結果と原因


調査の結果、外壁の遮音性能が極めて低く、推定で25dB程度しか遮音できていないことが判明しました。その原因は以下のとおりです。

  • 外壁材に遮音性能の低い素材が使用されていた

  • 壁内部に断熱材(グラスウール等)が十分に充填されていなかった

  • 図面にはない隙間が多数存在していた



◆ 弊社の対応と結果


外壁側には手を加えず、室内側から遮音性の高い石膏ボードの採用と断熱材の再充填を行う方法をご提案しました。結果として、「音は聞こえるが、気にならないレベル」にまで音を抑えることができ、大変ご満足いただきました。



事例② 音の発生源がわからない?


屋根裏の換気口から音が入り込んでいたケース(大阪府)


「窓の防音対策をしたのに騒音が収まらず、どこから音が入っているのか分からない」とのご相談をいただきました。方向感もつかめず、非常にストレスの大きい状況でした。



◆ 調査結果と原因


調査を進めるうちに、外壁や屋根裏の換気口から音が侵入し、屋根裏空間を通じて室内へ伝わっていたことが判明しました。目には見えにくい経路ですが、意外と多くの住宅で起こり得る問題です。



◆ 弊社の対応と結果


このケースでは、天井部分の防音を強化することで対応。最終的にはお客様の別のご要望もあり、防音室として全面的な施工を行いました。

解体時に実際に屋根裏の状態を確認したところ、やはり騒音の大半が屋根裏から伝わってきていたことが明らかになりました。





木造新築住宅における防音対策の最新事例



新型コロナの影響で在宅勤務が増加し、家の防音性がさらに求められるようになったことから、テレワーク対応の防音設計を施した戸建て住宅が増えています。建売住宅でも、音漏れや生活音対策をしっかり行うことが当たり前になりつつあります。ここでは、一般的な木造新築住宅で採用されている防音対策について紹介します。


1. 出入り口


通常の扉は音漏れしやすいため、出入り口には遮音性の高い扉を採用した住宅が増えています。こいった扉は音の漏れを防ぎ、快適なプライベート空間を保つ役割を果たします。



2. 床


二階の足音などが階下に響かないように、床にはグラスウールや遮音ボードが使用されています。断熱材を活用した遮音対策は、集合住宅並みの静音効果を提供します。



3. 内壁


吸音性に優れたグラスウールやロックウールを内壁に施工することで、隣接部屋や外部への音漏れを最小限に抑えます。これらの素材は、音を吸収し、生活音を外に漏れにくくする役割を果たします。



4. 外壁


木材や樹脂系の外壁材は遮音性が低いこともあるため、遮音性を重視した外壁材が推奨されています。しっかりとした外壁材を選ぶことで、外部からの騒音も軽減されます。



5. 窓


音の侵入経路になりやすい窓には、二重窓や防音ガラスを採用した住宅が一般的です。これらの窓は、外部からの騒音を軽減し、室内の静かさを保ちます。



6. 屋根


一般的には瓦屋根が最も遮音性が高いですが、スレートや金属屋根でも断熱材がしっかり施工されていれば、高い遮音性が実現できます。屋根も、防音性能を考慮した施工が必要です。






楽器演奏や大音量視聴には防音室が必要



木造戸建てのピアノ室



現代の木造住宅の防音対策は、通常の生活音に対しては十分な防音性を備えています。しかし、自宅で楽器を演奏する、または大音量で映画を視聴するなどといった目的には、専用の防音室が必要です。木造住宅が提供する防音性能は、一般的な生活音を想定して設計されているため、音楽スタジオやシアタールームのような高レベルの防音が必要な場合は、追加で防音工事を検討するのが良いでしょう。



創和防音の騒音対策について




防音性能を重視した木造住宅選びのポイント



戸建て住宅を購入する際には、防音性能に注目して物件を選ぶと、近隣の生活音に悩まされるリスクを軽減できます。コロナ禍以降、ハウスメーカーでも防音性に力を入れた物件が登場しており、テレワークや家での音楽・映画鑑賞を考慮した新しい住まいのスタイルが浸透しています。家の構造や使われている素材に注目し、防音対策が十分に施された木造住宅を選ぶことで、快適な住まいが手に入るでしょう。



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