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「最上階・角部屋」は落とし穴?防音性が高い賃貸マンションの見分け方を解説します。


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みなさん、こんにちは!

大阪を拠点に防音室の設計・工事をしている創和防音です。


マンションで発生する苦情の中で最も多いものは「騒音トラブル」であると言われています。

「騒音トラブル」に悩んだことがある人は


「次に住む部屋は絶対に防音性が高い部屋がいい!でも、どうやって防音性が高い部屋を見分ければいい・・・?」


と悩むのではないでしょうか。


こういった場合に多くの方が思いつくのが「最上階」や「角部屋」といった条件を重視して部屋を探す方法ではないでしょうか。


ですが、この方法は「隣接する部屋の数を減らす」という意味で隣人とのトラブルを減らす効果はありますが、部屋の防音性自体が高くなるわけではありません。


そのため、「最上階」「角部屋」に住んだとしてもそのマンション自体の防音性が低ければ「騒音トラブル」に悩まされる可能性は十分にあります。


そこで、この記事ではこういった「落とし穴」にはまってしまわないように、「防音性が高い賃貸マンションの見分け方」について2つのポイントに絞り解説したいと思います。



 

■防音性が高い賃貸マンションの見分け方は基本的には2つだけ

防音性が高い賃貸マンションの見分け方としては基本的には2つのポイントだけ抑えれば問題無いと思います。


実際には細かなポイントが他にも沢山あるのですが、それらのポイントは簡単には調べることが難しいポイントになってしまいます。


ですので、この記事では「誰でも簡単に確認する事が出来る2つのポイント」を紹介し、その他の細かなポイントについては記事の末尾にまとめて紹介したいと思います。


 

■防音性が高いマンションの部屋の見分け方①

防音性が高いマンションの部屋の見分け方の一つ目は、

建物の構造が

「鉄筋コンクリート造(RC造)」

もしくは

「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」

であることを確認することです。


これ以外の構造のマンションで防音性が優れるということはまず無いと考えてください。


この理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

⇒記事はこちら


防音性が高いマンションに住むためには必ず

「鉄筋コンクリート造(RC造)」

もしくは

「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」

の構造の建物を選ぶようにしましょう。


 

■防音性が高いマンションの見分け方②

防音性が高いマンションの見分け方の二つ目は、

「築浅である」

ことを確認することです。


私は仕事柄、マンションの建築図面を数百件以上見てきました。


その経験から言うと、築年数が古いマンション程「壁やスラブが薄い」です。

逆に、築年数が浅いマンション程「壁やスラブが厚い」です。

※スラブとは床を構成するコンクリートのことです。


これには理由があります。


記事の冒頭で書いた通り、マンションでの苦情の殆どは昔から「騒音トラブル」でした。


この問題を解決するために最近に建てられたマンション程、壁やスラブは徐々に分厚く設計されるようになっていったのです。


壁やスラブが分厚い方が重量が重くなり、「質量則」と呼ばれる遮音性能に関する法則によって防音性能が高くなります。

※「質量則」についてはこちらの記事で解説しています。



そのため、防音性を重視する場合はなるべく「築浅」の物件を狙う方が良いと言えるのです。


では、どの程度の築年数のマンションを狙うのが良いのでしょうか?


ひとつの目安として「最低でも2000年代以降」に建てられたマンションをオススメします。


この辺りに建てられたマンションはスラブ厚・壁厚が最低でも150mm以上は確保されている傾向にあります。


逆にこれ以前のマンションではスラブ厚・壁厚が120mmで設計されていることがあり、この場合は遮音性の観点で頼りないのでオススメしません。

(実際には90年代で既にスラブ厚・壁厚が150mmで設計されているものが多い印象でしたが、ここでは安全を見て2000年代以降をオススメしています)


また、「2000年代以降」であればマンションによってはスラブ厚・壁厚が180mmや200mmなどで設計されている場合もありますので、こういったマンションであればかなり良好な防音性を期待することができます。


 

■まとめ

防音性が高いマンションの見分け方は

  • 建物の構造が「鉄筋コンクリート造(RC造)」もしくは「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」であることを確認すること

  • 「築浅である」ことを確認すること(最低でも2000年代以降に建てられたマンション)

の2点です。


他の細かなポイントは以降の章でまとめておりますので、興味のある方は是非読んでみてください。


 

■防音性が高い賃貸マンションの見分け方~番外編~

基本的に、防音性が高い賃貸マンションの見分け方としては本編で扱った2点を気を付けていれば良いと思います。


ですが、もっとこだわって確実に防音性の高い賃貸マンションを見つけたいという方に向けて他の細かなポイントについてもここでまとめたいと思います。


ここで扱うポイントは賃貸をする側の立場からでは調べることが難しいポイントなども多くなりますが、ご了承ください。


●「ボイドスラブ」と「プレストレストコンクリートスラブ」は避けましょう

少し専門的な内容となりますが、RC造のマンションのスラブには種類があり、

「ボイドスラブ」と「プレストレストコンクリートスラブ」という特殊なスラブが存在します。


それぞれの詳細な説明は省きますが、これらのスラブを使用する目的は「小梁」を減らすことです。


小梁とは、スラブを補強する目的で設けられる梁なのですが、スラブの底面から出っ張ってしまったり、天井高が下がったりしてしまうため、デザイン的な観点から小梁を出来るだけ無くすことが求められることがあります。


このような意匠上の要求に応えるために「ボイドスラブ」と「プレストレストコンクリートスラブ」を使用して小梁を減らすことがありますが、防音性のことを考えた場合、小梁の少ないスラブは小梁があるスラブに比べて防音性が劣ってしまうのです。


そのため、防音性を重視する場合は「ボイドスラブ」や「プレストレストコンクリートスラブ」は避けた方が良いと言えるのです。


では、このようなスラブを避けるためにはどうすれば良いのかと言うと、一番確実な方法はそのマンションの「構造図」を回収してスラブの種類を確認する方法です。


しかし、これは建築図面が読める人でなければ難しいでしょう。


ですので、それが難しい場合は管理会社に聞いて確認することが出来れば良いと思います。


●GL工法の壁が採用されているマンションは避けましょう

GL工法とはコンクリートの壁に下地を使わずにボンドをコンクリート壁に塗り付け、石膏ボードを直接貼り付ける工法で、施工性が良いこととコストが低いことが特徴です。

GL工法の画像

出典:吉野石膏


しかし、このGL工法で施工された壁は遮音性能が低くなってしまいます。


理由の方はこちらの記事の「おまけ」の章で詳しく解説していますので興味がある方は読んでみてください。

⇒記事はこちら


では、「GL工法」の壁を避ける方法についてですが、内見などでその部屋を訪れた際に壁を少しずつ位置をずらしながらコンコンと叩いてみてください。


そうすると、その壁がGL工法の壁の場合は「コンコン」という軽い音が鳴る場所と「コツコツ」という硬い音がなる場所が交互に現れます。


逆にそうでない場合(コンクリート壁)は叩く場所を変えても「コツコツ」音しか鳴りません。

この方法によってある程度はGL工法の壁が使われている部屋を避けることができると思います。


なお、界壁(自分の部屋と隣戸を隔てる壁)を叩いてみるとほとんどの物件で「コンコン」といった軽い音が鳴ると思いますが、この場合はあまり気にする必要はありません。


というのも、単身者向けなどのマンションの界壁はマンションの構造自体がRC造であったとしてもほとんどがコンクリート壁ではなく「乾式壁」(石膏ボードと下地で作られた壁のこと)であるため、必ず「コンコン」という軽い音が鳴るのです。


もちろん、界壁でもコンクリート壁であればそれに越したことは無いのですが、RC造マンションの界壁のほとんどが「乾式壁」である以上、それを避けて通ることは難しいので、過度に避けてしまわないように気を付けましょう。


ですので、あくまでGL工法の壁を探す際は、「界壁以外の壁」を叩いて確認することに留めておくことをオススメします。


●タワーマンションの高層階は避けましょう

階数の多いマンション(タワーマンションなど)では地震時のことを考慮して、

「上の方の階は軽くなるように作られる」傾向にあります。


何故このようなことをするのかと言うと、高層階ほどスラブや壁の厚さなどを薄くし自重を軽くすることで、地震時の建物に対する負担を軽減しているのです。


タワーマンションのような細長い建物程、上部が重いと地震時に構造的に不利になってしまうため、このような設計をする場合があるのです。


しかし、スラブや壁の厚さが薄いと防音性は低くなってしまいます。


そのため、タワーマンションなどの高層階は防音性が低くなる可能性が高いのです。


低層階であればそのような懸念は低いと考えられますので、防音性を考慮するのであればタワーマンションでも低層階の方が防音性が高い可能性が高いと言えます。


●ある程度家賃の高いマンションを選びましょう

これは「防音性が高いマンションの選び方」ではないのですが、静かな環境を探している人にとっては重要な要素となります。


これはどういうことかと言うと、低い家賃帯のアパートやマンションでは騒音を出す人が多い傾向にあるため、ある程度高い家賃帯のマンションに住むことで上下左右の隣人に騒音を出す人が来る可能性を下げましょう。という話です。


自分自身、元々集合住宅の騒音トラブルに悩んでいた経験があるのですが、その当時は低い家賃帯のアパートで暮らしていました。


低い家賃帯のアパートではどうしても騒音を出す人が多く、管理会社へ相談してもあまり効果は無く、こちらが我慢を強いられる形でした。


今はある程度高い家賃帯のマンションに引っ越しをし騒音トラブルからも解放されていますが、高い家賃帯のマンションでは防音性以前にそもそも騒音を出す人がいないという印象です。


住んでいるマンションの防音性自体はあまり良いとは言えないのですが、(隣の住人のくしゃみが聞こえます。)周りに騒ぐ人がおらず静かに暮らすことが出来ています。


このように、騒音を出す人がいなければ防音性がそこそこでも快適に過ごすことが出来ますので、「ある程度高い家賃を払う」ことは非常に重要だと思います。



以上になります。

この記事が防音性を重視してお部屋を探している人の参考になれば幸いです。


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